[ アンサンド処理ロッドとノーマルサンド処理ロッドについて ]
図1 竹材(バンブー)の断面図
図1は竹(バンブー)素材の断面写真です。 参考として右部に深さ方向のスケールを表示しています。
竹の最外層表面が
”エナメル層”と呼ばれる部分で、内部に竹繊維
”ファイバー(パワー・ファイバー)”と呼ばれる竹繊維と
”ピス”と呼ばれる柔らかな部材部分が長手方向に沿って存在しています。
このピスによって、全ての細いファイバアーが束ねられ初めて竹としての強度が発揮されており、その意味でピスの役割は大変重要と言えます(ロッドも6片の竹部材が接着剤で固着され、初めてロッドとしての強度が発揮されるため、ピスは接着剤と同じ役割も果たしていると言えます。)
もし、ピス部分とファイバー部の結束力が弱ければ竹本来の強度が発揮されない事になります。
よく竹林の中で自然に折れた竹の折れた部分がバラバラに割けた状態を見ることがありますが、
ファイバーとピスが剥れた為に折れたことを示しています。
まさに最大応力がかかる竹の表面の破断による破損ではなく、
ファイバーとピスの分離が破損を引き起こしたと言えます。
これらからも解るように
ロッドのピス部分にオイルを浸透させることによりファイバーとピスの結節力を補強し、より安定した耐久性を得ることも出来るわけです。
また、竹の
弾性率(ロッドの特性を定める物理定数)はほぼ竹素材の体積中のファイバーとピスの割合により定まると言えます。
多くのバンブーロッドに使用される竹材
”トンキンケーン(実際には笹の仲間)”はファイバー自体が太く、また竹の体積中に占めるファイバアーの割合が多いため一般的にはバンブーロッドに最適な竹材と言われています。
(1)アンサンド処理ロッドについて
竹の最外層にある
エナメル層の役割は大変重要です。
本体内部が
害虫や病気からの攻撃されることを防御する役割を担っているため、非常に硬く、丈夫で平滑な状態になっています。
更に、最外層にである為、大きな力(雨、風、雪などで生じる自然の力)に耐える柔軟性や外部からの衝撃(砂粒、小石など)に耐えうる堅牢さを兼ね備えています。
実際に
破断応力はノーマル・サンドに比べると
20%以上高くなりますので大きな負荷に対処できる事となります。
しかしながら、実際には最外層の表面には多くの物理的な傷やシミなどがあり、ロッドの外観上、破損強度の低下などの問題のためにエナメル層は削られてしまう事が一般的となっています。
そこで、何とかエナメル層の優れた特徴を生かすため、傷を避けてロッド用材を割り出すようにしてアンサンド処理ロッド用の材料を作り出します。シミ部分はロッド強度に影響の無い場合は”
ロッドの景色”として許容出来ると思います。
実際には一本の竹材からアンサンド用部材が取れるとは限りませんので、常時製作できる訳ではありません。
アンサンド処理ロッドはエナメル層の柔軟性により
”しなやかさ”がより感じられますし又、エナメル層の耐久性がロッドにも十分生かされると考えられます。ロッド色は火入れ後の竹本来の色で
”薄黄茶色”となります。
ノーマル処理ロッドのように竹の”
竹ファイバーの美しさ”は出せませんが竹本来の自然な色であり、竹本来の機能が十分に発揮されるロッドではないかと思います。
(2)ノーマルサンド処理ロッドについて
一般的にはキズ、シミなどの外観的な問題を取り除き
”竹ファイバーの美しさ”を表現したロッドと言えます。
最外層のエナメル層を削り、ファイバー層のどこまで削るかは各メーカーによって異なりますがデュアル・フレックス・ロッドではメインの太いファイバーの働きを十分に機能させる為、エナメル層の直下の細かなファイバー層(図1参照)が現れるまでしか削っていませんので、ファイバーがはっきり見えるわけではありませんが、これによりロッド表面に
”薄茶色”の色が現れます。
ノーマルサンド処理はエナメル層が無い為、アンサンド処理よりやや
シャープな感覚が持味のロッドと言えます。
(3)フル・アンサンド処理ロッドについて
竹の節を削った
アンサンド処理ロッド(セミ・アンサンド処理ロッド)を更に一歩進め、
節も削らないフル・アンサンド処理ロッドを開発いたしました。。
竹の総合的特性を最大限に生かすため竹の本来の
節、
表面のエナメル層を全く削らないロッドです。
”しなやかさ”と”耐久性”を追求したロッドです 詳しくは
詳細情報をご覧ください。