デュアル・フレックス・ロッドの真の革新性とは!!
”ブレの少ないロッド”と直感的に理解しやすい表現の扁平・中空ロッドの真の革新性について解説いたします。
それについては”デュアル・フレックス・ロッドの可能性について”の項目で既に解説していますが、改めてまとめ
て説明いたします。
一言で言えば、多少大げさになりますが”フライ・ロッドの歴史を変えるロッド”とも言えると思います。
それは”ロッドの強さ”を変えず”ロッドの重量分布”を自由に変える事が出来る
事です。
従来のロッドは、当然のことながらロッドのテーパが決まれば、各部分の重量は決まってしまいます。
従って、ロッドとしての特性は唯一、どのようなテーパで設計するかによって決まってしまいます。
言い換えれば、”ロッドテーパ”だけが”ロッド特性”を決める、唯一の手段になるわけです。
第1図はロッドのある部分で、同じ強さにする時、その部分の重さの変化を
1.従来の中実(ソリッド)ロッド(正六角断面):赤丸印
2.従来の中空ロッド(正六角断面):ロッド肉厚変化させる:青の細線
3.デュアル・フレックス中空ロッド(扁平六角形断面):ロッド肉厚と扁平率を変化させる。:茶の太線
の各ロッドによる重さの変化を表すグラフです。
従来の中実ロッドを基準にしています。(重量比1は中実ロッドの基準値と同じ重量を表しています)
当然ですが、中実(ソリッド)ロッドでは指定部分をある強さにするには1つの条件(ロッド径)しかありません。
(赤丸印)
第1図 ロッドタイプによる重量の変化
* 中空ロッドの肉厚をロッド径で表した場合、0.5×Rod_Diaは中実と同じ事になります。
従来の中空ロッド(正六角断面)では最大重量で中実ロッドと同じ重量で、肉厚を薄くすれば重量は軽減されて
ゆきます。(青の細線で示しています)
デュアル・フレックス・ロッドでは扁平率を変えることにより、同じ強度でありながら最大重量を中実ロッドより重くも出来、
最小重量は従来の中空ロッドと同じにすることが出来ます。(茶の太線で示しています)
このように、デュアル・フレックス・ロッドではロッドの強さは同じでも、ロッド各部の重量を重くも軽くも設計で
きます。
ロッドの重量分布はロッドのキャスティング機能に大きく影響するところとでもあります。
[ ロッドの動作原理について ]
ロッドの動作原理ですが、多少専門的になりますが興味のある方はご覧ください。
ロッドの動作は基本的には図2−(1)に示される様に一端が固定され、”バネ”と”重り(質量)”によって運動する
システム(振動系と呼ばれるています )となります。
”K”はバネの強さ、”M"は重りの重さ(質量)となります
簡単に考えれば”スチール製スケール”の先端に”重り”を取り付け、重り部分に力を加えスケールを曲げ、その
後開放すると
1.”重い重り”の場合はゆっくりと振れ −ー>自由振動数が低い振動系
2.”軽い重り”の場合はす早く振れます −ー>自由振動数が高い振動系
少し専門的風に言えば自由振動数とは”外的作用が無くなった後、自ら自由に振動する時の振動数”です。
キャスティングで言えばロッド自重、ライン負荷などにより曲げられたロッドラインをキャストする時のロッドの動きが
まさに”自由振動”の状態になります。
因みに、前述の自由振動数をf0と表しておきます。f0はまた共振周波数(固有振動数)とも言われ、外部からf0と
同じ振動数の力が加えられると、更に大きな振動が生じ、いわゆる共振現象が発生します。
建築物などで、地震の際、地震の振動より大きな振動になるのはこの共振現象によります。
実際のキャストでは”人が調整する”事やフライラインの影響などにより振動は持続しませんが、キャスト
フィーリングはこの”自由振動の状態”により決まります。
ところで、実際のフライロッドはバット部分から先端までテーパーがついている為、(1)の様な単純になりません。
考え方としてはロッドを100〜200分割して見れば、テーパの無い極小部分の集まりとして考えることが出来ます
((2)ー(A))。
従って(2)−(B) のように分割した各部分がバネの強さ(K1,K2−−−Kn)と重りの重さ(M1,M2---Mn)で繋がった
モデルとなることが理解できると思います。
即ち、ロッドのテーパ設計(ロッド各部分の径の設計)とはバネの強さ(K1,K2−−−Kn)を決める事に他なりません。
図2.ロッドの動作モデル
前述の共振周波数 f0によってロッドテーパの意味を表現することも出来ます。
ロッド径をR_diaとします。
f0=f(R_dia) :”共振周波数f0はロッド径により定まる”の意味です。
ロッド径はバット部からトップ部へ徐々に細くなっています、即ちf0はバット部が高く、トップ部が低くなります。
ロッドはバット部が一番早く動き始め、徐々に先端に向かって動いて行くことを表しています。
即ち、バット部からトップ部への共振周波数f0の変化が少なければパラボリック・アクションロッド、大きければファスト・
アクションロッドになります。
デュアル・フレックス・ロッドの場合は (扁平率:a 中空部肉厚:t とする)
f0=f(R_dia,a,t) :”共振周波数f0はロッド径、扁平率、中空部肉厚 により定まる”の意味
f0は3要素(ロッド径、扁平率、中空部肉厚)により定まります。
このように、デュアル・フレックスロッドは従来にない要素により共振周波数f0を定めることが出来るため、広い範囲の
共振周波数f0を定める事が出来ます。
同じ強度(剛性)でも重量を変化させる事が出来る、即ち同じ強度(剛性)で共振周波数f0を変える事が出来その
結果キャスティング機能に大きな影響を与えることが出来るわけです。
問合せ 疑問点、質問点などがありましたら、お気軽にお問合せください!!