[ デュアル・フレックス・ロッドの内部構造 ]

    
                                 

        図1.デュアル・フレックス・ロッドの内部構造

 図1.はデュアル・フレックス・ロッドの内部構造を示しています。 これらは複数の内部節(ノード、ブリッジとも呼ばれる)と複数

中空部肉厚で成り立っています。

 一般的に中空ロッドの構造は節と中空部肉厚の状態で特徴づけられます。

 デュアル・フレックス・ロッドの基本的構造は多くの小さな内部節と複数の中空部肉厚が、ロッドの耐捩れ強度、耐圧縮力強度の向上

及び重量分布の調整などに関連しています。

 

(1) ロッドに働く圧縮力について

      
        

                  図2.曲がりによる圧縮力

 全てのロッドは曲がる事により、曲がった部分にロッド本体を圧縮する力が働き(図2)圧縮による曲りが発生します。

 即ち、圧縮力は曲がる部分の“伸び”と“縮み”により発生します。 特に中空構造のロッド(カーボン、グラス、その他素材に関係なく)

ではこの現象が現れ易くなります。

 例えばシューティングヘッド、W Fラインなどを遠投する場合、最後の強いライン・フォールとリストダウンにより、特定の部分に大きな

曲りが発生します。

その結果、

  T.利点としては圧縮曲がりにより、遠投力が増大します。

  U.欠点としては圧縮されることによる強度、耐久性の低下などにつながります。

 デュアル・フレックス・ロッドでは材料強度、接着強度の点から圧縮曲りを防ぐ為、部分的に節の間隔を細かくし、この圧縮曲りを防止しています。

 また、中空構造ロッドでは”捻れ”についても注意しなければなりません。

 これは高層建築の構造でも理解できるように仕切りを設けることで、壁と仕切りにより建物の捩れ強度を上げることが出来ますが、同様に

中空ロッドにおいても仕切り(節、ノード、ブリッジ)は重要な要素になります。

 捩れ強度を上げるためには節の形状間隔が関係しますが強度軽量化の関係で合理的な条件を探す必要があります。

 実際のデュアル・フレックス・ロッドではロッド長により異なりますが、耐捩れ強度、耐圧縮強度などを考慮し、全体で節数は30以上になりますの

で中空ロッドでありながらより強いロッドが実現されています。

(2)中空部分の肉厚について

 中空部肉厚は一定ではなく、数段階に渡って肉厚を変えています。図1.に示しているように中空部分の肉厚を場所によって変えています。

(図中のt1、t2、t3など)

これは、

    (T)接着面積を大きくし、接着力を大きくする。

    (U)ロッドの重量分布を変えることにより、ロッド・アクションを変化させる。

などの理由によります。 曲りによる圧縮力曲率(曲り具合)とロッド径により決まります。 同じ曲率であればロッド径の大きな方が圧縮力は大きく

なりますので中空構造のロッドでは各部の接着力を適切に保つ事が重要になります。

 接着力を大きくするには接着面積を大きくすることが必要となりますので、デュアル・フレックス・ロッドでは中空部肉厚を3〜7段階(ロッド長、モデル、

ライン負荷による)に渡って変化させ、ロッド強度、耐久性の向上を図っています