参考4.
       ヤング率(弾性係数、モジュラス)の簡易測定方法について


曲率法によるロッド設計においてはヤング率(縦弾性係数、モジュラス)を設定することが最重要課題になります。ここでは特別な装置を必要としないで、ヤング率を簡易的に測定する方法を紹介いたします。
本格的には引張試験機と言う本格的な装置を必要としますが、高価な装置で一般的(公共の機械試験所で有料で借りることができますが)ではありません。

第1図はヤング率の簡易想定方法の原理図です。手順は以下のと通りです。

 1.長方形断面のテスト片を作ります。長さは10〜30cm程度、幅3〜5mmの細長いテストピースをなるべく
    正確に作ってください。厚み、幅はできるだけ正確に作る必要があります。
    このテストピースは厚み、幅を変えて3種類以上用意してください。


               第1図  ヤング率((縦)弾性係数)の簡易測定方法 

 2.次に、1g〜10g程度の重りを何種類かを用意します。各重りWの重量は正確に測っておきます。
   少なくとも0.05g以内の正確さで測るか、天秤ばかりの重りのように正確に重さが判っている重りを用
   意する必要があります。
 3.テストピースの方端をバイスなどでしっかりと固定します。固定端から重りをつける先端までの長さL
   測定、記録します。

 4.テストピース先端に重りを吊るす糸を固定します(接着など)。
 5.重りを吊るした時のテストピースの先端の変位量が長さLの2/100程度になるような重りWを先端部
   に取付、そのときの変位量を測定します。スケールでの目視で測定します。
 6.重りW長さLをいろいろ変えながら1テストピースあたり10回以上測定します。
 7.別のテストピースでも同様の測定をしておきます。
 8.各テストピースの断面2次モーメントIは幅、厚みの平均値から第1図の計算式によって求めます。
   次にヤング率Eは同じく各測定値(W、d、L)ごとに計算して、最終的に全ての値を平均して求めます。
   必要ならインチ、オンス単位に変換しておきます。
 9.必要に応じて同じテストピースを利用して密度(oz./in.3) の想定も可能になります。

これらの方法ではテストピースの製作が大変重要になりますので、注意深く製作してください。
さらに、この方法では多く測定すればするほど正確な値に近くなりますので労をいとわず測定してください。

ちなみに、デュアル・フレックス・ロッドの設計ではトンキン・ケーンのヤング率は下記の値を採用しています。

           E=1.1×10 oz./in2


このようにしてトンキン・ケーンだけでなく、別の材料を使用してロッドを製作する場合にもヤング率密度を測定すれば容易にロッドの設計が可能になります。