2.4 設計手順

前章の各計算式によって、以下のような手順で必要な各部分のロッド径(テーパ)を計算します。
  1. 最初に、予めグラフ化(数値化)した曲率カーブから、ロッド先端部から一定距離(通常は5インチ毎、一般的には竹片を削るはツールが5インチ毎の設定になっています。)の位置における曲率を求めます。(自分で任意のカーブを設定します。)
  2. 次に、先端から計算位置にまでの以下のような、各項目を計算します。

    1. ロッド自重 
    2. ニス+ガイドの重量 
    3. 先端から出ているフライライン重量(長さ)+トップガイドの重量(ギャリソンは1インチ先端部分でのこの値をチップ・インパクト(4倍した値)と称しています。) 
    4. ロッドに沿ったフライラインの重量。
    5. フェルールの重量(フェルール位置を考慮する)

    等を積算し、その値を4倍し、全モーメントを計算します。
    (ラインを水面からピックアップしたり、フォルスキャストする時など、最大で静止した場合の4倍の重量
    (4倍の重力加速度)が加わるとしています。)                                   
  3. 前章の(3)式からその部分におけるロッド径Dを求めています。

但し、あらかじめ使用ライン番手、フェルール種類(スタンダード、トランケット、ステップダウン等のタイプ)とサイズ、トップガイド・サイズなどを決めておかなければなりません。

これらはコンピュータを利用すれば、簡単に(3)式からロッド径Dを求めることが出来ます。

 1. 計算例
                                                      
前章の手順により計算した1例を以下に示しておきます。
ギャリソンの著書中の8’#6用セミパラボリック・ロッドを例にして計算結果を表にしてまとめてあります。
図1 は設計用の曲率カーブ図、図2 は著書中の設計用ストレスカーブ図を示しています。
表1 は曲率カーブ法によりコンピュータで計算した結果であり、表2 はストレスカーブ法によりギャリソンが手計算で計算した結果です。

                図1 8’セミパラボリック・ロッド用設計曲率カーブ

図2 はギャリソンの提唱するストレスカーブによる設計法の1例として掲載されているストレスカーブ図です。
これをもとにして計算された結果が 表2 に示してあります。




            表1 8’セミパラボリック・ロッド テーパ計算結果

図1 はギャリソンのセミパラボリック 8’#6 2PCロッドの設計用曲率カーブ図です。
主な基本データはティップ・インパクト=2.50(ライン負荷:DT#6Line 約50フィートトップガイドサイズ:4.5/64) フェルール:13/64(スタンダードタイプ)、フェルール位置:48インチ等です。
以上の条件で図1 の曲率カーブによるロッドテーパを計算した結果を 表1 に示してあります。

又表1 には断面2次モーメント、キャスティング方向のストレス、水平方向のストレスの計算結果も記載してあります。本表のキャスティング方向のストレスはギャリソンのストレスカーブの設計値と同じ意味になります。


               図2 8’#6セミパラボリック・ロッド 設計用ストレスカーブ

図2 はギャリソンの提唱するストレスカーブによる設計法の1例として掲載されているストレスカーブ図です。
これをもとにして計算された結果が 表2 に示してあります。


             表2 ギャリソンによる8’セミパラボリック・ロッド テーパ計算結果

表1 と表2 のロッド径は若干(1/1000 インチほど)異なっていますが、これは使用したバンブーの比重、フェルール重量、フライライン重量などの若干の違いによります(図2、表2データはギャリソン著:”Masters' Guide To Building A Bamboo Fly Rod”より引用)

既に述べていますように、曲率カーブによる設計法の最大の利点はロッド長が同じであれば使用
ライン番手、断面形状(中空、四角形、五角形、8角形など)、使用材料特性(比重、弾性係数など)
に関係なく同一の曲率カーブによって基本のロッドテーパが計算できる点にあります。

また、図3はギャリソンの8’#6セミパラボリック・ロッドのキャスティング方向水平方向のストレス値を比較した図です。
このロッドは当然、キャスティング方向も水平方向も同一の曲がり(剛性)を持っています。
これから明らかのように、同じ曲がりになる場合でも両者の間の関連がつき難いことが判ると思います。

デュアル・フレックス・ロッドの場合はキャスティング方向と水平方向の曲がり具合(剛性)を別々に設定するため、ストレスカーブ法では設定をすることが難しくなってしまいます。


  図3 ギャリソン 8’セミパラボリック・ロッドのキャスティング方向と水平方向のストレスカーブ図

曲率カーブはストレスカーブと異なり、直接ロッドの曲がり具合を表すため、デュアル・フレックス特性を設定するにも大変理解しやすい方法と言えます。


(参考1) 各種断面2次モーメントの計算式  正多角形の場合
                                                         
この章では標準的な正多角形の断面2次モーメント の計算式について記載しておきます。

                  各種正多角形の断面2次モーメント


(参考2) 各種断面2次モーメントの計算式  扁平多角形の場合
                                                         
標準的な扁平多角形の断面2次モーメント の計算式について記載しておきます。
尚、図中のIv,Ihは各軸(垂直軸、水平軸)に対応する断面二次モーメントを表します。
尚、図中の a は扁平率を表しています。

                    各種扁平多角形の断面二次モーメント


(参考3) 各種断面2次モーメントの計算式  中空扁平多角形の場合
                                                           
標準的な中空扁平多角形の断面2次モーメント の計算式について記載しておきます。
尚、図中のIv,Ihは各軸(垂直軸、水平軸)に対応する断面二次モーメントを表します。

                        
                    各種中空扁平多角形の断面二次モーメント




2.新しい設計法   曲率による設計法


          〔目 次〕

1. 計算例
 参考1 正多角形の断面2次モーメント
 参考2 扁平多角形の断面2次モーメント
 参考3 中空扁平多角形の断面2次モーメント